2015年7月1日。
初めてヨーロッパを訪問する父と合流するため、私はパリにいました。
その日のパリは1947年以来68年ぶりに最高気温が40度を超え、パリ北駅に到着した私もご多分に漏れず、オランダからの国際高速特急Thalysを降りた瞬間42度の熱烈な歓迎を受けたのでした。
そんな記録的熱波のうだるような暑さの中、駅に降り立った時にそよぐ風を涼しいと感じたのは、きっと、その日の特急がさらに暑かったからでしょうか。
なにせ、オランダを出発した途端に同じ車両の乗客と車掌が喧嘩を始め、ベルギーのブリュッセルでセキュリティが乗り込む大騒動に発展して30分遅れ、ようやく双方が矛を収めて順調に走りだしたと思ったら私の乗った車両だけエアコンが故障し、「もうあと5分したらバリ北駅だから」と我慢していたら線路内人立ち入りの影響で緊急停止し、太陽の恵みが燦々と窓から差し込む中さらに30分待たされ、最後には半ば茹でダコのようになるという、まるでどこかのコントのように物理的にも精神的にも暑い暑い特急だったので、駅に到着した時の解放感で記録的熱波なんて吹き飛んでしまったのかもしれません。
その後も、パリ北駅とシャルル・ドゴール空港を結ぶRER B線が止まっていてホームに人が溢れかえっていたり、代替手段のロワッシーバスは夕方の渋滞に巻き込まれてなかなかオペラ座のバス乗り場に現れなかったり、最後の手段のタクシーは熱波の中1時間待ちの長蛇の列だったり、ようやく乗れたと思ったら夕方の渋滞に巻き込まれてにっちもさっちも行かなくなったり、とにかくこの日起こったいろんな出来事は全て熱波のせいです。断言できます。
そんなこんなで、当初父の到着する1時間半前にシャルル・ドゴール空港に到着して、ミュージアムパスを買ったりいろいろ準備をする予定だったのが、慣れない海外の空港に2時間も待たせることになってしまいました。
ゴメンナサイ(X_X)
それでもようやくたどり着いたオペラ座近くのホテルの部屋は、一歩外に出れば凱旋門が暑さで霞んでしまう熱波の中でも、涼しげな見た目のバルコニーが窓の外に広がり、もちろん冷房も程よく効いて快適で、そのことをすっかり忘れさせてくれました。
父と行く10日間の欧州旅行は、こうして初日の私の身の上に、全てのトラブルを詰め込んでスタートしました。
その後大きなトラブルに会うこともなく順調に旅行ができたのは、きっと初日に全部詰め込んだおかげじゃないかと、ヨーロッパの神様に感謝カンシャ。