こんにちは、エンジニアの、たきです。
そういえば私が技術者だと自己紹介するのは初めてかもしれませんね。
こんにちは、エンジニアの、たきです。
決して、さすらいの芸術家ではありませんし、
ましてや、おもしろ吟遊詩人でもありません。
三つ子の魂なんとやら、どこに行っても何を見ても、
新しい技術にはかなり敏感に反応すると、
そんな自負をしています。
おかげで、オランダに飛ばされてしまいました。
・・・閑話休題・・・
サグラダ・ファミリアでは、礼拝堂の他にいろいろな場所を見学できます。
その中でも建築デザインの展示をしている部屋は、エンジニアとしてとても興味深く見学しました。
最初の写真は、ガウディがデザインをした時に使用した模型です。
なんかゴチャゴャっと、糸におもりが沢山ぶら下がっています。
そして、模型の上に鏡があって、その模型を上下逆さまに写しだしています。
一見なんだかわからないこの糸の形が、サグラダ・ファミリアのデザインにとって、とても大切な意味を持っています。
この模型の糸の形が、現在のサグラダ・ファミリアの外観を形作る曲線の原型になっています。この、糸におもりをぶら下げた時の曲線を「カテナリー曲線」、もしくは日本語で「懸垂曲線」と言います。100年前の偉大な建築家は、このような模型を使って教会の外観をデザインしたんですね。
さらにこの模型は綺麗な曲線をデザインできるだけではなく、構造力学的に安定した柱の形を作り出すことができるそうです。
そんなわけで、コンピュータはおろか簡単な電卓すらない時代の建築において、このような原始的な模型はとても重要な役割を担っていました。
コンピュータ全盛の時代。
このブログを読んでいる、あなたの手の中に収まっているスマホやタブレットが、もはやスペースシャトルに積んであるコンピュータよりも数百倍、数千倍、数万倍高性能になってしまった時代。
建築途中のサグラダ・ファミリアも当然その恩恵にあずかっています。
左の写真はその一例。
ガウディが設計した当時のスケッチと、コンピュータグラフィックスにより映し出された図面との対比が、100年の人類の進歩を象徴しています。
さて。
懸垂曲線の標準的なモデルは、エンジニアの私には解けない微分方程式を解くととなります。
私には元の難しい微分方程式は解けませんか、それでもコンピュータにこの数式を入力すれば、たちどころに、瞬時に、本当に瞬きをする刹那にこの数式の描く曲線を計算して、さらに高解像度のディスプレイに表示させることができます。
現代の科学技術、万歳!
今やコンピュータの上で表現した図面は、そのまま印刷ができてしまう。
そんなとてつもない時代になりました。
この写真はサグラダ・ファミリアのデザインルームに鎮座していたZ Corporation社のモデルZ650。日本でも何かと話題の3Dプリンタです。
この3Dプリンタがあれば、サグラダ・ファミリアの模型もこれ、この通り。凄い精密さで「印刷」できてしまいます。
日本ではどうも新しい技術に負の側面があると、そのような面ばかりが強調されて報道されるように感じます。
しかしそんなことをしているうちに、諸外国はどんどん前に進んでしまって、もたもたしている人たちはあっという間に周回遅れ。
100年前の卓越したデザインと最新のテクノロジーの融合に心躍らせつつ、日本の行く末に一抹の不安を感じたり。そんな複雑な気分になったのは、きっとここが異教の神の礼拝所だからだと、そう頑なに信じることにして、私はがむしゃらに前へ進みます。
アーメン