広い草原の片隅で、やぎの親子がが草を喰む。そんな、のどかな田園風景が広がる、オランダの夏の一コマ。
ここは、スホクラント(Schokland)という、オランダの数少ない世界遺産の一つ。
オランダ人が、干拓地を広げるために水と戦った面影を残す、そんな場所です。
・・・には、ちょっと見えないですね。
ここからだと、どうでしょうか。
私が写真を撮るために立っている場所は、19世紀まで海でした。
こうしてみると、結構高低差があるのがわかると思います。
19世紀頃まで、島はたびたび洪水に見舞われていました。
そして、村の規模に比べて堤防を整備する費用が割高なことから、最終的に政府が島を放棄する決定をした、という歴史を持っています。
左の地図の中央、Aという印がついて塗りつぶされているところが、その昔、島だったところです。
地図でみる限り、全然そんな感じはしませんし、実際に行ってみても、「オランダにしては珍しく、高台があるな」位の感じで、全然「島」という感じではありません。
それもそのはず、20世紀になって作られた干拓用の大堤防のおかげで、島を含む周囲の海は、まるっと丸ごと干拓されて、今や立派な牧草地。
地図の右下にあるA印の周囲が、見事に干拓されているのがわかると思います。
水と戦った歴史は過去のもの、今のスホクラントは豊かな牧草地に囲まれています。
どこまでも広がる牧草地。
オランダの象徴的な風景です。